2011年 11月 16日
イタリア旅行 モザイクの街 |
魔法の古都ベネチアを堪能したあとは列車でラベンナへ向かった。
ここもアドリア海に面している。正確には沿岸まで10キロあるのだが、埋め立てられたのである。名残りとして、ちょっと郊外に出れば湿地帯や川、運河があちこちにある。
美術史を学んだ人ならラベンナの名を知っているだろう。
東ローマ帝国の首都だったこともあり、内装にモザイクを使った教会や遺跡が集中している。サン・ヴィターレ教会など有名どころは幾つもあるが、近郊に位置するサンタポリナーレ・イン・クラッセ聖堂は傑作中の傑作。大きなドーム天井に、華やかなのに落ち着いた色調のモザイク画が見る者の心に語りかけてくる。
派手な動きや奇をてらった狙いは皆無。仏さんの悟りみたいな世界観である。
翌日は港へバスで行ってみた。
中世前の昔、ラベンナはアドリア海の主要港だったと聞く。今でもその歴史を受け継いでいるのだろうか、港湾の設備は立派なもので、埠頭が延々と伸びている。そこを歩けば、見学に来た小学生たち、釣り糸を垂れているオヤジ、抱き合っているカップルなどとすれ違うのであった。
ラベンナでは三日間ゆっくり見回ったが、食事はスーパーの惣菜を買って公園などで食べていた。ラタトゥイユ風の野菜類、ハムやサラミ、揚げ物などおつまみ的な料理を楽しんだ(フランスのケータリングは当たり外れがあるが、イタリアでは水準が高い)。
また、駅からのメインストリートにある「ピアディーナ屋」にもお世話になった。ピアディーナとはピザとパニーニの合いの子みたいなもの。注文を受けたおばさんは生地を練って焼き、中身(豚の蒸し焼き、ハム類、生野菜、ゆで野菜など)を入れてくれる。これが又、美味いのだ。
最後の晩は例によって、トラットリアへ。前菜には、懲りずにトマトソースのスパゲッティ。これは外れることがないし、シンプルなので飽きが来ない。
メインはよく判らないまま、豚のあばら焼き肉を頼んでしまった。元気なウエートレスにどんな料理か聞いたのだが、僕が勝手に誤解していたのだ。出てきたのは、サイズは大きいが一見普通の豚肉だ。ところが口に入れてビックリした。豚の旨みに加えて、不思議な美味しさが広がるのである。
何かにマリネしてあったのか。豚もこの地方の品種なのか・・と自問する。生のローズマリーが添えてあり、これが僅かな苦味があって良く合う。
ワインはラベンナのロマーニャ地方で生産された赤ワイン。南欧特有のどっしりした、しかし繊細なワインだった。
デザートはサクランボ入りのプリンにしてみた。甘さは控えめ、サッパリしてるのに口に残る余韻。
もう、ノックアウト状態であった。
by t-kuwabara
| 2011-11-16 18:04
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